極楽浄土に行きたきゃ有名になれ。

 先日、叔母の法事に行ってきた。四十九日の法事に参加するのはこれが2度目。母方の親戚が集まって30分ほどのお経を聞いて納骨をした。

 叔母は乳がんで亡くなった。一ヶ月ほど前から今夜が山ですと言われ続けていた。毎晩のように母と祖母が病院に通っていた。結婚をしていない叔母は家族がいなく、代わりに自分の母が面倒を見ていた。遺産相続の関係で叔母の銀行口座にあるお金を確認したところ1400万程の貯金があった。祖母が他界する前に何かに使わないと相続税で国に持って行かれると騒いでいた母は、どうお金を使うか悩んでいた。考えた末にまず買ってきたものはWii Uのパーティーゲームだった。使い方が細かすぎた。

 叔母との思い出はあまりなかった。でもこの法事に参加していろいろなことを学んだ。

 お経を唱えた後のお坊さんが極楽浄土について教えてくれた。

 なぜ四十九日の法事をやるのか。人は死んでから49日で新しい命をもらい現世に帰ってきて、お母さんのお腹に新しい命として宿るらしい。いわば来世のお誕生日会をしているようなものだ。

 極楽浄土とはどのようなものなのか。極楽浄土では修行をする。修行といってもキツイものではない。そもそも極楽浄土には苦痛がない。ここでいわれる苦痛は心地よくないと思う全てのものが苦痛に含まれる。例えば、お風呂に入るのも苦痛になる。お風呂に入りたいと思ったと同時に体の周りにお湯が現れて、いい感じの温度になりいい感じのところの水位でお湯が止まる。一切の苦痛がないのが極楽浄土。そんな極楽浄土の修行は死んでからいきなり始まる訳ではないらしい。あちらの時間で49日間蓮のつぼみの中に包まれて、修行の準備をしてからつぼみが開き、極楽浄土の修行が始まるらしい。自分からしたら蓮の葉に49日も包まれているのが一番の苦痛に思える。

 四十九日の法事をするのにはもう1つの理由がある。前にも言った通り、極楽浄土では修行をする。決して辛いものではないが、この修行にはレベルがあるらしい。修行を1からやるのはかなり嫌だろうから、飛び級システムが極楽浄土には存在する。かなりのゆとり教育だ。どうやって飛び級するのか。それは現世に残った親族や関係者の力で飛び級する。極楽浄土で流れている時間は現世の6倍以上の速さらしい。法事に参加した人の人数プラスお坊さん一人かけるお経を読んでお焼香した時間分飛び級できるらしい。うちの場合、親族12人とお坊さん1人の合計13人でかかった時間が30分だから極楽浄土の時間で3時間。全部で39時間分の修行をスキップできる。

 法事に参加してくれた人数分の修行がスキップできるなら今のうちに友達いっぱい作るか有名になっておいたほうがいいとこの時思った。来世は絶対有名になる!とか言うやついるけど、この理論からしたら現世である程度有名じゃないと来世でも無理だ。総理大臣とかのレベルだと参列者多すぎて、もはや飛び級だけで修行終わるんじゃね? ヤマザキパンいきなりめちゃ買いすぎて、1回でシール20枚貯まっちゃってオリジナルのお皿いきなり貰えるみたいな。徐々にやるのが醍醐味なのに〜〜〜みたいな。地道に修行している周りもびっくりだろう。あいつ新人なのに飛び級半端なっ!みたいな。結局、極楽浄土でも有名人だ。

 自分は死後の世界とか信じない人だ。だから死後はただの“無”の世界だと思っている。だから極楽浄土もないと思っている。でも、このお坊さんの話やお坊さんの話を聞くきっかけを与えてくれた叔母には感謝する。現世を精一杯生きて頑張って有名にならないと待っているのは“無”か、良くても“飛び級がない極楽浄土”だけ。そうまた思えた。

 帰り際にお坊さんに浄土宗の教えが書かれたお経をもらって帰ってきた。

 その書物の初めには浄土宗の教祖の法然が作った宗歌が書かれている。とても深い意味が込められていそうな歌だ。

『月かげの いたらぬさとは なけれども ながむる人の 心にぞすむ』

 

 さっぱり分からん。

Seiru Sato

Don't settle. 考え、行動し、発信する。 面白い話をたくさん出来た人生は楽しい人生と言える。

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