シャンティーという男。

 8ヶ月前ジャカルタに住んでいる時にシャンティーという19歳の少年に出会った。一緒にインドネシア大学に通っていた友達のむっちゃんに連れられてジャカルタのモールに行った時にシャンティーに出会った。初めて彼を見たときびっくりした。綺麗なモールにいてはいけない格好をしていた。びろびろの汚いタンクトップを着ていて20キロのバックパックを背負ってスターバックスのベンチに座っていた。一目で普通の奴じゃないと分かった。

 シャンティーという名前だけど日本人である。山田シャンティーさとる。シャンティーという名前は旅立つ時に自分で付けたらしい。彼は大学に進学せずに世界一周をしている。凄いのが世界一周になんの目的も持っていない。彼のは5年計画で100万円だけ持って飛び出したらしい。クレイジーな旅である。彼は海外に住んだことがあるので英語は喋れる。最初は100万で5年間って足りるの?って思ったけど、話を聞いていると凄い。ラオスからインドネシアまで移動費・食費0円で来たらしい。彼にとって車のヒッチハイクなんて朝飯前で、彼は船のヒッチハイクもできるらしい。初めて船のヒッチハイクを聞いた。それぞれの港には船長が集まるバーみたいのがあるらしい。シャンティーはそのバーに行って、自分を売り込んで船に乗せてもらったらしい。マッサージができる、飯も作れる、掃除もするということを売り込むらしい。船長が気に入れば船に乗れるらしい。

 東南アジアを旅しているときにもちろんくそ田舎にも滞在する。そこでシャンティーが経験した、鳥を殺して骨や血まですべて食べる方法を事細かに俺に教えてくれた。一生使わないノウハウだと思った。羽を後ろでクロスして縛るともう鳥は動かなくなるらしい。笑顔で教えてくれた。旅中に誕生日が来て、彼は一人で寒さをしのぎながら掃除ボックスのなかで誕生日を迎えたらしい。

 彼は色んなことを考えていた。そこになんか似ている物を感じて1週間俺の家に居候することになった。世界一周楽しい?って聞くと楽しくないと言った。目的なんかないから楽しくないことの方が多いし、寂しいらしい。でも、各国々で日本人に出会って、書いている日記を読んでもらうのがうれしいらしい。日記を見せてもらったらぎっしりと書いてあった。書いてあるのは文字だけじゃなかった。俺も日記をつけていたけど、シャンティーのに比べたら全然くそみたいな日記だった。毎日5、6行しか書いていなかった。シャンティーがそれを見て、「兄貴、1日ってもっと長くて濃いですよ。」って言った。その日から俺は日記に余白を残すことの無いように、その日したことや感じたこと、言ったことを書きとめた。そういう日記を書くようになってから、毎日の生活の中で何かしらを探すようになった。なんか面白いことは無いか、新しい出会いは無いか。そうすると日記がすぐ真っ黒になる。

 シャンティーと出会って2日目にいきなり「幸せってなんですかね」って聞かれた。完全に同じにおいのする質問だった。そこから朝三時まで哲学的なことを語り合った。ベットで寝るか聞いたら、床で寝るの慣れてるんでって言われて、次の日起きたら俺の横で寝てた。寒かったらしい。可愛いところもある。

 そんな彼と出会って一番感じたことは、限られた人生楽しめるだけ楽しまないとダメだ。挑戦できるだけ挑戦しないとダメだということ。アフリカの奥地で何がされてるかなんて知らない。インターネットで調べても載ってないことの方がまだまだ多い。人とは違う経験をして、人にはできない面白い話をたくさんできて、こんな面白い人生終わりたくないと後悔しながら死ねればそれは最高の人生って言えるんじゃないか。だから毎日を味わいながら、年末に今年の365日を細かく思い出せるくらい印象深い毎日を送りたい。人は皆死んで灰になる。終わりは分かってるんだから、価値のあった灰になりたい。

 昨日友達から借りたチャリを盗まれた。これもまた面白い話ができそうだ。ごめん、Jojoh。

Seiru Sato

Don't settle. 考え、行動し、発信する。 面白い話をたくさん出来た人生は楽しい人生と言える。

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